『ORDINARY LOVE』発売一周年!

 

 

 皆さん、本日4月5日は何の日か分かりますか???

 

そう。逢田梨香子さんの声優アーティストとしての記念すべきデビュー作『ORDINARY LOVE』の配信から一周年の記念日になります!タイトルでもろバレてる

(逢田梨香子さんおめでとうございます!)

 

 

 

 デビュー作というのはアーティスト本人にとってはもちろんのことだと思いますが、ファンにとっても非常に思い入れの深いもので未だに僕の一番好きな逢田梨香子さんの楽曲はこの『ORDINARY LOVE』だったりします。他にも良い曲いっぱいあるけどね、もはや別次元で好き。

 

 今回は僕の大好きなこの『ORDINARY LOVE』について、一年間雨の日も晴れの日も雪の日も、通学中も休みの日も文字通り毎日欠かさず聴き続けたオタクによる感想のようなものを書いていきたいと思います。

 

 思ったことをつなげて書いただけなので形になっているかは大分怪しいですが、これを見て少しでも『ORDINARY LOVE』という曲に興味を持って頂ければ幸いです。 

 

 

曲の概要

 『ORDINARY LOVE』は声優アーティスト逢田梨香子さんのデビュー作(リリース順としても、レコーディング順としても)にあたる作品で、アニメ『川柳少女』のEDにも起用された、いわゆるアニタイ曲です。

 『川柳少女』を見たことのない人に向けて軽く解説すると、このアニメは川柳でしか気持ちを伝えられない変わった主人公の少女 雪白七々子 と元ヤンの 毒島エイジ の何気ない学園生活を描いた日常アニメです。逢田梨香子さんは声優として毒島エイジの年上の幼馴染 大月琴 (琴姉) の役を演じています。(TVアニメ「川柳少女」公式サイト

この琴姉だけど、役柄が逢田さんにハマりすぎているので全ての逢田さん推しにアニメ見てほしい。アニメだと2話、原作漫画だと9巻で描かれるけど、琴姉はエイジのことを恋愛対象としてとらえているのに鈍感なエイジにとってはただの幼馴染のお姉さんでしかない。何この関係。まじで尊い。やばい。

 

 また、アニメタイアップということで『ORDINARY LOVE』がかのアニソンの祭典Animelo Summer Live 2019 -STORY-』で披露されたことは覚えている方も多いんじゃないでしょうか。

ここに書くのはただの蛇足。当時逢田さんのアニサマ出演が発表されたとき、アニサマが好きな人や他のAqours声優のファンの人など、非常に多くの人から「なんで逢田梨香子アニサマに」「アニサマに立つのは早すぎる」という趣旨の批判が出ました。僕自身アニサマの歴史と愛され方をよく知っているので批判のほとんどが正論であると思っていたし、僕も逢田さんのファンじゃ無かったら叩く側であっただろうという自覚もあります。それでも、この曲が3万人の観客が耳を傾けて聴くに堪えうるほど立派なアニソンであることを分かってもらえたらな、と思ってこの記事を書いてます。

 

 『ORDINARY LOVE』は逢田さん本人にとってもかなり想い入れのある作品のようで、昨年のbirthdayイベントにて自身の初めての歌唱披露の曲に選んだり、最新アルバムの『Curtain raise』に関しては「この曲は最後に入れようと以前から決めていた」などと発言してます。

 

 声優アーティストという職業について考えてみる

 楽曲自体の話に行く前に、少し立ち止まって「声優アーティスト」という職業について考えてみましょう。

 あまりにも声優がソロアーティストとして歌うことが当たり前になってきている今、これを意識することは中々ないですが、深く考えなくても「声優」が「アーティスト」を兼ねるというのは不思議な構図です。

業界が声優の人気を利用しているだけ。そう言ってしまうのは簡単ですが、もう少し芸のある説明をしたいと思わないでしょうか。

 

 声優アーティストという仕事って、一言で表すならば「自分とは違う「誰か」を歌で演じること」だと思います。歌の中に登場する主人公(=「誰か」)は見方によっては声優さん本人にみえるかもしれないし、タイアップアニメの登場人物であるかもしれないけれど、そこに必ず実在しない「誰か」が存在するわけです。(この「誰か」を専門的な用語を用いて表すならば、観測する人・タイミングによってその「誰か」が誰になるか分からない量子状態である、といった感じでしょうか。ますます分からない?ええ、僕も。)

 

 声優アーティスト活動における主役に当たる自分とは違う「誰か」というのは、例えば三森すずこさんで言えば、声優の三森すずこ(本名:岡田鈴子)さんは声優アーティストとしての三森すずこを曲を通して演じていると言えるのです。決して岡田鈴子さんという実在する人物が主人公なわけではありません。三森すずこは概念」←これは偉い人が昔言ってました。

 

 この「実在しない誰かを演じること」は声優さんの本来の仕事と紙一重です。そこにあるのは命を吹き込む対象が既に絵や設定が用意されたキャラクターであるか、声優さん本人が生み出す「誰か」であるかという違いだけです。言葉のニュアンス、息遣い、自分なりの解釈など色んなスキルが声優においてもアーティストにおいても求められる。だからこそ「声優」であるからにして「アーティスト」活動を行う意義がそこにあると僕は思います。

 

 さて、どうしてこんな話をしたかと言うと、『ORDINARY LOVE』という曲は凡庸な曲調に相反して、曲の世界観に登場するこの「誰か」という主人公が非常に奥深いのです。

 

『ORDINARY LOVE』というアニソンの世界観

 『ORDINARY LOVE』は『川柳少女』のタイアップ曲ということで、この作品の世界観に大きく影響を受けています。

 

 アニメを見たうえでED映像と共にこの曲を聴いたとき、この曲のイメージとして沸き上がってくるのは、主人公の雪白七々子のエイジへの恋愛感情じゃないでしょうか。

例えばサビの

ありきたりな 日常でさえも

あなたとなら 輝きだす

たとえなにが起きたとしても

たまに傷つき傷つけても

息が触れあうほど近くで

何気ない日を信じていて

の辺りは感情を口にだすのが苦手な七々子の胸の内に秘めたる感情のように思えますね。

 

 しかしちょっと違った視点で、特に『川柳少女』第2話の後に聴いてみると、まるで歌の主人公が逢田さん演じる大月琴のようにも感じられるのです。

笑っちゃうくらい全く違う私たち

ショーウィンドウ 映る姿さえ

並んでたら 恋人に見えているかな?

まさかキョウダイに 思われてるかな?

この辺は七々子視点というよりも確かに大月琴の内に秘めた感情に近いように思います。歌詞だと伝わりづらいですが、逢田さんの歌にのせるとグッと切なさが増します。だけどこの感覚はアニメ見たり原作の漫画を読まないと少し分かりづらいかもしれない…

 

 

 こういう風に考えると「ORDINARY」というタイトルの意味にもよりいっそう深みが感じられます。日本語訳すると「普通の」「特別ではない」といった意味になる言葉ですが、琴姉の視点からすると「ORDINARY」がなんと切ないワードになることか…!

 

 曲に登場する「誰か」が七々子であるか、琴姉であるかで受け取り方が変わってくるのがこの曲の一番凄いところだと思います。どちらが『ORDINARY LOVE』の真の主人公であるか、という話ではなくどちらも正しい受け取り方であるということです。

 

逢田梨香子さんが歌う意味を考えてみる

 ここまではアニメ『川柳少女』のEDとしての世界観の話をしてきました。じゃあ「逢田梨香子」が歌う初めての曲としての『ORDINARY LOVE』はどういう曲であると言えるでしょうか。

 

 これが少しこの曲の難しい所だなと思っていて、例えば三森すずこさんの『会いたいよ、会いたいよ!』だったり、内田彩さんの『アップルミント』だったりはまさにその人のアーティスト人生を彩る「デビュー曲」らしいくっきりとしたカラーがついています。

 これらに比べると良くも悪くも『ORDINARY LOVE』にはこうしたカラーがほとんどない。良く言えば『川柳少女』の世界観に丁寧に寄り添っている、悪く言えばアーティストとして無個性な曲です。

 

  

 僕自身デビュー曲で『ORDINARY LOVE』のようなアーティスト色の薄い曲を出すってどういうことなのか、とずっと不思議に思っていたんですけれど、なるほどな、と腑に落ちたのが2019年の8月8日に行われた逢田梨香子さんのbirthdayイベントのときです。

 このとき初めてORDINARY LOVEのライブ披露がなされました。曲披露の前に逢田さんは「ペンライトの色は基本的に好きな色を振ってもらって構わないけど、『ORDINARY LOVE』では白を振ってほしい。」と言っています。

 最初僕は『ORDINARY LOVE』は絶対ピンクでしょ!って思っていたのでこれを聞いて強烈な違和感を感じたんですけれど、いざ会場がホワイトに染まって『ORDINARY LOVE』が流れると、確かにこの曲の情景は白に近いと気づかされました。逢田梨香子=ピンク だと思ってしまうのはラブライブ!に引きずられ過ぎていたなあと反省しました。

 

 そこでふと思ったのが、逢田梨香子演じる声優アーティスト逢田梨香子のカラーは「白」なのかもしれないということ。

 

 一概にデビュー曲が全てを決める、というわけではありませんが内田彩さんのアップルミント色然り、三森すずこさんのピンク色然り、デビュー曲のカラーはその人のアーティスト活動を彩るに相応しいイメージカラーを持っています。特に三森さんはピンク一色だよね。

 『ORDINARY LOVE』は、特別じゃない、日常の中に潜んだ感情を歌ったもの。逢田梨香子さんは他の声優さんに比べると、どこか個性が掴みづらい人であると思うし、真面目で表には出さないけれど想いの強さは人一倍。そんな人だからこそ「想いよひとつになれ」という物語が誕生したはずです。

 これを表現するに相応しい色はやはり「白」だと思うわけです。特別な色があるわけではないまさに「ORDINARY」な白。色がないのではなく、様々な色が重なり合ってできる白という色がある。

 

 そう考えると、なんで『ORDINARY LOVE』が逢田梨香子さんのデビュー曲であるか、そしてどうして主役を演じた花澤香菜さんじゃなくて逢田梨香子さんがEDを担当したのか、とても納得がいくように思うのです。

 

 この『ORDINARY LOVE』という曲は逢田梨香子というアーティストにハマりすぎている。そしてアニメ『川柳少女』の世界観を表すのに逢田さんの歌い方が絶妙すぎる。

 

 

ああ、やはり『ORDINARY LOVE』はいい曲だ。逢田梨香子さんにぴったりの。

 

 

おわりに

 オタクはすぐに推しの歌う曲を「神曲」と表現したがる習性があります。おかげで世の中には「神曲」が溢れすぎて八百万の神々状態です。

 それでも敢えていいましょう。『ORDINARY LOVE』は神曲であると。

 

 一見すると平凡なつまらない楽曲に見えるかもしれないけれど、何回も聴いて、アニメを見て原作を読んで、噛めば噛むほどにこの曲の「良さ味」があふれ出して来ます。これを神曲と言わずして何であるか。

 本物のうま味を持つ昆布の美味しさを他人に伝える最善の手段は何だと思いますか?プロのリポーターに食レポをお願いする?高性能カメラで撮る?いや、食べてもらうことに決まっています。

 だから『ORDINARY LOVE』の魅力を知ってもらうため、ここまで長々とブログを書いたうえで僕はこう言いましょう。

 

こんな記事読んでないでまずは聴いてみろ。飲み込まずにじっくり噛んで聴いてみるんだ。

 

・『ORDINARY LOVE』のfullバージョン


[Senryuu Shoujo ED] Ordinary Love - Rikako Aida

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