昔のオタク、今のオタク

最近ある本を読んで思ったことがあります、

 

それは「最近のオタク層と昔のオタクとは行動原理がまるっきり違う」ということ。

 

別に決して昔のオタクを礼賛しているわけじゃ無く、単に時代の推移でしかないですけど、にしても昔と今のオタクは全然違う。

 

僕がそう思ったきっかけとなった本は、一時期東大の講師もしていた岡田斗司夫さんというオタクが書いた『オタク学入門』という本。

 

 

 

これは2000年に発売されたという太古の本で、しかも大概にして凡そ常人には理解不能なことが書いてあるのですが(だけどこれが読んでて面白いんだな)、そのなかで1つ考えさせられた文章が

 

アニメしか見ないオタクはただのアニメファンだ ~(中略)~ それを深く追求すればするほど、他のオタクジャンルに無関心でいられるはずがない」

「確かにアニメはオタキズムのホームグラウンドだ。だけど、ゲームにも特撮にも洋画にもマンガにもオタク度の高い作品はいっぱいある。で、実はそういった作品は互いにものすごく影響を与え合っている。それをジャンルクロスして見抜き、楽しむのが『オタク的な見方』なのだ」(本書43P)

 

 

という主張。

 

この議論自体の真偽はさておき、真の(2000年当時の)オタクは「1つの作品・媒体それ自体よりも、ジャンルクロスしたメディア間の繋がりの様なものを楽しんでいた」といったことは実に的を射ていると思いました。

 

というよりも寧ろ、「オタク」と一般的に用いられている言葉から、「マニア」や「ファン」といった余分な意味を取り除いた真の(下位概念としての)「オタク」としての定義こそが、先の文章で書かれたものなのではないか。というのが僕の所感です。

 

「オタク」:一般的にオタクと呼ばれる人たち。

 オタク :特定の作品やジャンルのファンに留まらない、包括的なオタクコンテンツの繋がりを楽しんでいる人たち。

 

この定義を踏まえた上で、今の「オタク」界隈について考えてみる。

 

特撮とかアニメとか漫画とかオタク的なものに片っ端から手を出して吟味してジャンルクロスな楽しみ方をしているオタクがいま身の回りにいるかっていうと、あんまりいない。いるにはいるんだけれども。

(ちなみに僕自身もどちらかと言えばオタクじゃない人間に入るんだろうなと思います。「オタク」なのは間違いないんだけど。)

 

つまり、僕が思うに、本書が書かれた当時の「オタク」と今の「オタク」の違いっていうのは、「オタク」と呼ばれる集団の中での真のオタクの占める割合の違いなんじゃないかというわけです。

 

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イメージ図にしてみた(我ながらセンスがない)

 

すると、従来オタク向けに制作をしてきたオタク企業は、当然売り上げを伸ばすために、大衆派である「オタクではない人々」をメインターゲットに据えて販売戦略を立てるようになる。(主にブシ〇ードとかブ〇ロードとか)

 

ただ、これをもって

「昔のオタクは良かったんだ、だけど今のオタクは…」

という議論に持っていくのは違いますよね。

 

こうやってオタク層が変化したのは、オタクコンテンツが広範に普及したこと以上に、オタクコンテンツが大きくなりすぎてジャンルクロスして楽しむ負担が大きくなり過ぎたことが原因だと思います。

 

だって例えばいま、特撮が気になるから…Vtuberが気になるから…と新たなジャンルに手を出したら、いったいどれだけの時間を犠牲にしなくちゃいけないのか分かったものじゃないですよね。

 

ならば、太古のオタクの様なジャンルクロス的な楽しみ方をするよりも、自分の好きなジャンル・作品に熱中しよう、という単一指向性がその中で生まれてくるのはまさに「時代の流れ」というべき変化でしょう。

 

 

 

こうやって考えると今のオタク界隈で起きている分化現象って、今の政治とか社会とかで起きている問題と実はあんまり変わんないんじゃないかなぁという風に思ったりします。

 

 

あとはラブライブ!とかアイマスとか、或いはブシロードコンテンツの人気の理由ってなんなんだろうな。なんてことをこういう観点から考えても面白いと思います。

 

 

以上、大学のレポートを書いている途中に思考が迷走してオタク妄想にふけっていた人間のつぶやきでした。

 

早く僕はレポートを書きなさい。

 

声優オタクがVtuberにハマった話

Vtuberは最高!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは、にしょうと言います。

 

 

Vtuberにハマってしまいました、誰か助けて下さい。

 

 

最近、毎日毎日Vtuberの動画ばかり見てます。

 

 

気づけば今まで推し声優の事を考えていた頭の領域がVtuberに浸食されている。

 

 

助けて、助けて…… ……かわいい、かわいいよ、湊あくあちゃん

 

 

ほんとどうしてこうなってしまったんだ

 

 

全ての元凶はこの動画↓

 


【誕生日に】Ubiquitous dB/湊あくあ【歌ってみた】

 

 

『Ubiquitous dB』はSAOという僕がオタクの世界に足を踏み入れたきっかけとなった思い入れのある作品の、しかも僕の大好きな挿入歌。この曲をこうまで可愛く歌い上げる人間が、いやバーチャルメイドアイドルがいるとは思ってなかった。

しかも絶妙に歌上手いし。

 

 

それでも多分、この曲がきっかけじゃなかったらここまでハマんなかったと思う。

この『Ubiquitous dB』は作品中でもユナっていうバーチャルアイドルが歌ってる曲なんですけど、歌詞がバーチャル空間をイメージさせる詞(めちゃくちゃ良い歌詞、まじで)になってるので、湊あくあがこれを歌うと味が出るどころの騒ぎではない。もはやこっちが原曲だと錯覚する。あれ、Vtuberってもしかして面白い???

 

 

 

 

 

 

 

 

気づけば永遠にループ再生していた。

 

 

多分再生回数100回は優に越えてる。

 

 

いつのまにかオタク友達に湊あくあの布教をしている自分がいた。

 

 

 

今自分がこうなっていることを一週間前の自分に言い聞かせても多分信じないと思う、僕はこれまでVtuberというジャンルが本気で嫌いだった。

 

まあ今思えば嫌いなんじゃなくて声優趣味の沼が深すぎて他の沼に手を出す余裕が無かっただけなんだとおもうけど。

 

 

そんな自分がいざVtuberに手を出してみたら予想以上にハマってしまった。

 

 

なんか表現しづらいですけど、、、湊あくあをみているとどこか昔のある声優を見ているような感覚になるんですよ。

 

 

結局のところアイドルを追うってのは形が違えど本質的には何も変わらないのかもしれない。

 

 

そして恐ろしいのが、Vtuberには声優を追ってる時に感じる「生の人間」の感覚がないこと。

 

 

これは本当に恐ろしい。

 

 

どうして恐ろしいかって、声優を追ってると必ずビジュアルだったり販売戦略だったり、挙句の果てには結婚報告だったり、直視しなきゃいけない現実の側面が必ずある。この現実の側面が「自分の抱く声優像」とギャップが生じるとオタクはこれらの不協和に苦しむことになる。オカダカズチカ?うっ、頭が…

 

 

なのにVtuberを追ってる限りではこんな苦しみ味わうことはまずない。顔はバーチャルだし、リアル情報を出すのはほとんどタブーだし、お布施は自分が使いたいときにスパチャなりで投げればいい。するとどうなるかって言うと、本来ストッパーとして働くはずの情報が無いおかげであっという間に沼にはまり込んでいく。

 

 

これを思うと本当に恐ろしい。もう二度と元の場所に戻ってこれない感じがする。だけど目をつむって3秒間何も考えずアホになればこれほどストレスフリーで最高なコンテンツはあり得ない。

 

 

ほんと、Vtuberは最高だ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数か月後にVtuberにスパチャ投げてる自分を想像して震えています。

(終わり)

 

 

 

 

 

 

日々ほのぼの

どうもこんにちは、にしょうです。

 

最近新しいイベント事がないもんですから昔の想い出を掘り返すのにはまっていて、

 

 

 

受験期に毎日欠かさず見ていた某トップYouTuberの動画を見ていたり、


あの機能がついに1つに?!史上最強のシャーペン現る。

 

 

 

 

僕が初めて見た深夜アニメでもあるSAOを始めから見直してみたり、

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高校生の時ドはまりしていた艦これを再開してみたり、

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久しぶりにやったら楽しすぎてランキング入りしてしまった

他にも中高くらいのときにハマっていた熱をいろいろと掘り返すのが僕のマイブームになってます。

 

こうやって昔を振り返るのって今みたいに何もやることが出来ない時くらいしかできないし、案外自粛ムードも悪くないなって感じてます。

 

 

あと、外出自粛が叫ばれるようになって良かったことがもう一つあって、

 

 

大学もイベントも何もないおかげで自分の好きなことに何にもとらわれずに没頭できること。

 

 

普段生活していると、試験近いし勉強しなきゃ、ライブが迫ってるしあの人の曲聴き込まなきゃ、もっと自分に真面目に生きなきゃ、ってどこか強迫観念に縛られてるところがあって…

 

 

まあ何が言いたいかって言うと、結局のところ僕は僕の「推し声優」である逢田梨香子さんのことが本当に好きなんだなって客観的に再認識させられたってことです。

 

 

本を読んでいるとき、ゲームをしているとき、ちょっとやる気出して勉強しているとき、あるいは何もせずただ過ごしているとき。そういう時に無性に逢田さんの曲を聴きたくなるし、何回聴いても不思議と飽きないっていう。

 

 

なんだかんだ言って、ライブもイベントもなく「ヒマ」な毎日に一番曲を聴いてて楽しい人こそが本当の「推し」なんだってことを思い知りました。そしてライブとか無くても、家でお気に入りのイヤホンでじっくり聴いてるだけで案外楽しいってことも。

 

 

だから自粛ムードで大学どうなるか分かんないし、楽しみにしていたアニメは延期にはなったけど、何よりこうして色々と気づかせてくれているコロナちゃんにはある意味感謝しなきゃいけないですね。

(逢田さんのライブ無くなったのはマジ辛いけど)

 

 

というわけで、イベントが何もないので中身もなんもない記事でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逢田さんの新アルバムはいいぞ!

 

 

デュオトリオ投票結果を予想してみる

ラブライブ!サンシャイン‼の次のデュオトリオコレクションの組み合わせを現時点(2020年4月8日時点)のカップリングの人気度から大雑把に見積もってみたいと思います。

 

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人気度の見積もりに用いるのは「pixivの投稿されている作品につけられたタグの数」です。

 

あくまでも大雑把な目安ですので恐らく外れると思いますが、この組み合わせは嫌だからこちらを勝たせたい!等の戦略を練る参考にしていただければ。

 

手順(気にしない方は結果まで飛ばしてOK)

  1. pixivのタグ検索機能を用い、#〇〇△△ の形でタグが付けられた作品数を記録(例えば、千歌と梨子の組み合わせであれば #ちかりこ の投稿数)。計9×8=72組のタグ投稿数をまとめ、〇〇△△と△△○○を比較して投稿数の多い方を「人気度」の値とする。
  2. この際、#黒澤姉妹 等のように同一キャラクターで別のタグが多用されているものについては同一キャラ内で最も多いものを「人気度」として用いる。ここまでトリオユニットについても同様。
  3. A~Kまでの各組合せ候補について、1~2で算出した「人気度」の和をとり各候補の「予想得票度」とする。この際、各候補間でカップリングの被りがある場合(BとJのようりこ等)、票割れを考慮して「人気度」を重複数で割った商を用いて「予想得票度」を計算する。

 

補足

上のような手順を用いたのは次のような理由から

  • pixivのタグ数はカップリングの人気具合・ファンの熱量などを定量的に扱いやすい
  • pixivの投稿にはタグを多用できる、ラブライブ!では受け攻めが多くの場合で考慮されない、などの理由でメジャーなタグとマイナーなタグは多くの場合で一緒に投稿される。つまり、CPで最もメジャーなタグの投稿数≒当該CPの投稿数 とみなせる。
  • カップリングのファンからすると、好きなカップリングが重複していた場合どちらかを選ばなければならないが、投票先が1つであれば必ずその選択肢に投票するはず。

 

ただし、以下のことを考慮に入れて結果を見る必要がある

  • 「CPの人気」と「デュオトリオを聴きたいユニットの順位」は別物
  • pixivへの投稿は一部のファンの行為であり、投票者の総体を示すものでは無い。(特に熱狂的なファン程多くの投稿を行っているであろうため、大多数の一般層の好みを無視している可能性がある)
  • 投稿数は今までの投稿数の総和であるので、必ずしも現段階の人気を示すものでは無い
  • 票割れは必ずしも平均的に生じるとは限らない
  • 前回のデュオトリオで採用されたCPの票が流れ込む先が未知数

 

結果

 まずはpixivタグ投稿数の結果。

  千歌 梨子 果南 ダイヤ 善子 花丸 鞠莉 ルビィ
千歌 × 2146 783 658 292 409 88 256 127
梨子 31 × 19 11 205 340 170 124 74
果南 51 817 × 1269 53 354 130 2384 217
ダイヤ 402 220 107 × 80 453 213 134 988(1238)
5814 3596 562 110 × 1827 161 645 105
善子 137 4347 86 66 5 × 3548 276 726
花丸 19 6 33 35 5 44 × 54 1036(16)
鞠莉 67 32 67 12 15 33 152 × 27
ルビィ 4 16 13 38 0 16 953 164 ×

数字は#(左のキャラ)(上のキャラ) のタグ数で、左上の2146は#ちかりこ の投稿数になる。かっこ内は特殊な名称のタグ投稿数。

太字は最もメジャーなタグの投稿数

赤字は今回の結果を左右しそうなCP

青字は前回のデュオトリオで採用されたCP

 

続いて、各候補の予想得票度を計算したのが次の表。

  デュオ1 デュオ2 デュオ3 トリオ 合計
A ちかりこ   かなまり   ダイまる   わいわいわい    
2148 795(3) 107(2) 6 3055
B ダイちか ようりこ よしまる かなまりルビ  
329(2) 1798(2) 3548 0 5675
C ダイちか かなまり はなまるびぃ ようよしりこ  
329(2) 795(3) 259(4) 16 1399
D ようちか かなりこ ダイよし まるまりルビ  
5814 817 453 0 7084
E ちかよし かなルビ まりまる りこダイよう  
409 217 164 0 790
F ちかまる りこルビ ようかな ダイよしまり  
88 74 187(3) 0 349
G かまり よしりこ ようかな ダイルビまる  
256 2174(2) 187(3) 3 2620
H ちかルビ りこまり ダイまる ようかなよし  
127 124 107(2) 1 359
I ダイりこ ようかな はなまるびぃ ちかよしまり  
220 187(3) 259(4) 10 676
J ようりこ かなまり はなまるびぃ ぐ~りんぱ  
1798(2) 795(3) 259(4) 7 2859
K よしりこ ダイまり はなまるびぃ ようちかなん  
2174(2) 134 259(4) 431 2998

数字は「人気度」を表すが、票割れを考慮し()内の数で割ったものを表記

太字は今回の投票を左右しそうなユニット

 

 

 

結論

以上のことから、Dが最も当選に近いと思われます。ようちか最強!!!

 

とはいえ、補足で述べたような理由から投票次第ではA・B・G・J・K 辺りも十分に当選できるポテンシャルがあると思います。

ただし、マイナーCPが多いE・F・H・I辺りはかなり厳しいんじゃないでしょうか…見てみたくはありますが。

 

まあ僕は人気であろうがなかろうがちかりこがいるAに投票すると決めているんですけどね!!!

 

 

公式ページ:

http://www.lovelive-anime.jp/uranohoshi/news.php?id=6436

 

『ORDINARY LOVE』発売一周年!

 

 

 皆さん、本日4月5日は何の日か分かりますか???

 

そう。逢田梨香子さんの声優アーティストとしての記念すべきデビュー作『ORDINARY LOVE』の配信から一周年の記念日になります!タイトルでもろバレてる

(逢田梨香子さんおめでとうございます!)

 

 

 

 デビュー作というのはアーティスト本人にとってはもちろんのことだと思いますが、ファンにとっても非常に思い入れの深いもので未だに僕の一番好きな逢田梨香子さんの楽曲はこの『ORDINARY LOVE』だったりします。他にも良い曲いっぱいあるけどね、もはや別次元で好き。

 

 今回は僕の大好きなこの『ORDINARY LOVE』について、一年間雨の日も晴れの日も雪の日も、通学中も休みの日も文字通り毎日欠かさず聴き続けたオタクによる感想のようなものを書いていきたいと思います。

 

 思ったことをつなげて書いただけなので形になっているかは大分怪しいですが、これを見て少しでも『ORDINARY LOVE』という曲に興味を持って頂ければ幸いです。 

 

 

曲の概要

 『ORDINARY LOVE』は声優アーティスト逢田梨香子さんのデビュー作(リリース順としても、レコーディング順としても)にあたる作品で、アニメ『川柳少女』のEDにも起用された、いわゆるアニタイ曲です。

 『川柳少女』を見たことのない人に向けて軽く解説すると、このアニメは川柳でしか気持ちを伝えられない変わった主人公の少女 雪白七々子 と元ヤンの 毒島エイジ の何気ない学園生活を描いた日常アニメです。逢田梨香子さんは声優として毒島エイジの年上の幼馴染 大月琴 (琴姉) の役を演じています。(TVアニメ「川柳少女」公式サイト

この琴姉だけど、役柄が逢田さんにハマりすぎているので全ての逢田さん推しにアニメ見てほしい。アニメだと2話、原作漫画だと9巻で描かれるけど、琴姉はエイジのことを恋愛対象としてとらえているのに鈍感なエイジにとってはただの幼馴染のお姉さんでしかない。何この関係。まじで尊い。やばい。

 

 また、アニメタイアップということで『ORDINARY LOVE』がかのアニソンの祭典Animelo Summer Live 2019 -STORY-』で披露されたことは覚えている方も多いんじゃないでしょうか。

ここに書くのはただの蛇足。当時逢田さんのアニサマ出演が発表されたとき、アニサマが好きな人や他のAqours声優のファンの人など、非常に多くの人から「なんで逢田梨香子アニサマに」「アニサマに立つのは早すぎる」という趣旨の批判が出ました。僕自身アニサマの歴史と愛され方をよく知っているので批判のほとんどが正論であると思っていたし、僕も逢田さんのファンじゃ無かったら叩く側であっただろうという自覚もあります。それでも、この曲が3万人の観客が耳を傾けて聴くに堪えうるほど立派なアニソンであることを分かってもらえたらな、と思ってこの記事を書いてます。

 

 『ORDINARY LOVE』は逢田さん本人にとってもかなり想い入れのある作品のようで、昨年のbirthdayイベントにて自身の初めての歌唱披露の曲に選んだり、最新アルバムの『Curtain raise』に関しては「この曲は最後に入れようと以前から決めていた」などと発言してます。

 

 声優アーティストという職業について考えてみる

 楽曲自体の話に行く前に、少し立ち止まって「声優アーティスト」という職業について考えてみましょう。

 あまりにも声優がソロアーティストとして歌うことが当たり前になってきている今、これを意識することは中々ないですが、深く考えなくても「声優」が「アーティスト」を兼ねるというのは不思議な構図です。

業界が声優の人気を利用しているだけ。そう言ってしまうのは簡単ですが、もう少し芸のある説明をしたいと思わないでしょうか。

 

 声優アーティストという仕事って、一言で表すならば「自分とは違う「誰か」を歌で演じること」だと思います。歌の中に登場する主人公(=「誰か」)は見方によっては声優さん本人にみえるかもしれないし、タイアップアニメの登場人物であるかもしれないけれど、そこに必ず実在しない「誰か」が存在するわけです。(この「誰か」を専門的な用語を用いて表すならば、観測する人・タイミングによってその「誰か」が誰になるか分からない量子状態である、といった感じでしょうか。ますます分からない?ええ、僕も。)

 

 声優アーティスト活動における主役に当たる自分とは違う「誰か」というのは、例えば三森すずこさんで言えば、声優の三森すずこ(本名:岡田鈴子)さんは声優アーティストとしての三森すずこを曲を通して演じていると言えるのです。決して岡田鈴子さんという実在する人物が主人公なわけではありません。三森すずこは概念」←これは偉い人が昔言ってました。

 

 この「実在しない誰かを演じること」は声優さんの本来の仕事と紙一重です。そこにあるのは命を吹き込む対象が既に絵や設定が用意されたキャラクターであるか、声優さん本人が生み出す「誰か」であるかという違いだけです。言葉のニュアンス、息遣い、自分なりの解釈など色んなスキルが声優においてもアーティストにおいても求められる。だからこそ「声優」であるからにして「アーティスト」活動を行う意義がそこにあると僕は思います。

 

 さて、どうしてこんな話をしたかと言うと、『ORDINARY LOVE』という曲は凡庸な曲調に相反して、曲の世界観に登場するこの「誰か」という主人公が非常に奥深いのです。

 

『ORDINARY LOVE』というアニソンの世界観

 『ORDINARY LOVE』は『川柳少女』のタイアップ曲ということで、この作品の世界観に大きく影響を受けています。

 

 アニメを見たうえでED映像と共にこの曲を聴いたとき、この曲のイメージとして沸き上がってくるのは、主人公の雪白七々子のエイジへの恋愛感情じゃないでしょうか。

例えばサビの

ありきたりな 日常でさえも

あなたとなら 輝きだす

たとえなにが起きたとしても

たまに傷つき傷つけても

息が触れあうほど近くで

何気ない日を信じていて

の辺りは感情を口にだすのが苦手な七々子の胸の内に秘めたる感情のように思えますね。

 

 しかしちょっと違った視点で、特に『川柳少女』第2話の後に聴いてみると、まるで歌の主人公が逢田さん演じる大月琴のようにも感じられるのです。

笑っちゃうくらい全く違う私たち

ショーウィンドウ 映る姿さえ

並んでたら 恋人に見えているかな?

まさかキョウダイに 思われてるかな?

この辺は七々子視点というよりも確かに大月琴の内に秘めた感情に近いように思います。歌詞だと伝わりづらいですが、逢田さんの歌にのせるとグッと切なさが増します。だけどこの感覚はアニメ見たり原作の漫画を読まないと少し分かりづらいかもしれない…

 

 

 こういう風に考えると「ORDINARY」というタイトルの意味にもよりいっそう深みが感じられます。日本語訳すると「普通の」「特別ではない」といった意味になる言葉ですが、琴姉の視点からすると「ORDINARY」がなんと切ないワードになることか…!

 

 曲に登場する「誰か」が七々子であるか、琴姉であるかで受け取り方が変わってくるのがこの曲の一番凄いところだと思います。どちらが『ORDINARY LOVE』の真の主人公であるか、という話ではなくどちらも正しい受け取り方であるということです。

 

逢田梨香子さんが歌う意味を考えてみる

 ここまではアニメ『川柳少女』のEDとしての世界観の話をしてきました。じゃあ「逢田梨香子」が歌う初めての曲としての『ORDINARY LOVE』はどういう曲であると言えるでしょうか。

 

 これが少しこの曲の難しい所だなと思っていて、例えば三森すずこさんの『会いたいよ、会いたいよ!』だったり、内田彩さんの『アップルミント』だったりはまさにその人のアーティスト人生を彩る「デビュー曲」らしいくっきりとしたカラーがついています。

 これらに比べると良くも悪くも『ORDINARY LOVE』にはこうしたカラーがほとんどない。良く言えば『川柳少女』の世界観に丁寧に寄り添っている、悪く言えばアーティストとして無個性な曲です。

 

  

 僕自身デビュー曲で『ORDINARY LOVE』のようなアーティスト色の薄い曲を出すってどういうことなのか、とずっと不思議に思っていたんですけれど、なるほどな、と腑に落ちたのが2019年の8月8日に行われた逢田梨香子さんのbirthdayイベントのときです。

 このとき初めてORDINARY LOVEのライブ披露がなされました。曲披露の前に逢田さんは「ペンライトの色は基本的に好きな色を振ってもらって構わないけど、『ORDINARY LOVE』では白を振ってほしい。」と言っています。

 最初僕は『ORDINARY LOVE』は絶対ピンクでしょ!って思っていたのでこれを聞いて強烈な違和感を感じたんですけれど、いざ会場がホワイトに染まって『ORDINARY LOVE』が流れると、確かにこの曲の情景は白に近いと気づかされました。逢田梨香子=ピンク だと思ってしまうのはラブライブ!に引きずられ過ぎていたなあと反省しました。

 

 そこでふと思ったのが、逢田梨香子演じる声優アーティスト逢田梨香子のカラーは「白」なのかもしれないということ。

 

 一概にデビュー曲が全てを決める、というわけではありませんが内田彩さんのアップルミント色然り、三森すずこさんのピンク色然り、デビュー曲のカラーはその人のアーティスト活動を彩るに相応しいイメージカラーを持っています。特に三森さんはピンク一色だよね。

 『ORDINARY LOVE』は、特別じゃない、日常の中に潜んだ感情を歌ったもの。逢田梨香子さんは他の声優さんに比べると、どこか個性が掴みづらい人であると思うし、真面目で表には出さないけれど想いの強さは人一倍。そんな人だからこそ「想いよひとつになれ」という物語が誕生したはずです。

 これを表現するに相応しい色はやはり「白」だと思うわけです。特別な色があるわけではないまさに「ORDINARY」な白。色がないのではなく、様々な色が重なり合ってできる白という色がある。

 

 そう考えると、なんで『ORDINARY LOVE』が逢田梨香子さんのデビュー曲であるか、そしてどうして主役を演じた花澤香菜さんじゃなくて逢田梨香子さんがEDを担当したのか、とても納得がいくように思うのです。

 

 この『ORDINARY LOVE』という曲は逢田梨香子というアーティストにハマりすぎている。そしてアニメ『川柳少女』の世界観を表すのに逢田さんの歌い方が絶妙すぎる。

 

 

ああ、やはり『ORDINARY LOVE』はいい曲だ。逢田梨香子さんにぴったりの。

 

 

おわりに

 オタクはすぐに推しの歌う曲を「神曲」と表現したがる習性があります。おかげで世の中には「神曲」が溢れすぎて八百万の神々状態です。

 それでも敢えていいましょう。『ORDINARY LOVE』は神曲であると。

 

 一見すると平凡なつまらない楽曲に見えるかもしれないけれど、何回も聴いて、アニメを見て原作を読んで、噛めば噛むほどにこの曲の「良さ味」があふれ出して来ます。これを神曲と言わずして何であるか。

 本物のうま味を持つ昆布の美味しさを他人に伝える最善の手段は何だと思いますか?プロのリポーターに食レポをお願いする?高性能カメラで撮る?いや、食べてもらうことに決まっています。

 だから『ORDINARY LOVE』の魅力を知ってもらうため、ここまで長々とブログを書いたうえで僕はこう言いましょう。

 

こんな記事読んでないでまずは聴いてみろ。飲み込まずにじっくり噛んで聴いてみるんだ。

 

・『ORDINARY LOVE』のfullバージョン


[Senryuu Shoujo ED] Ordinary Love - Rikako Aida

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逢田梨香子 『Lotus』歌詞書き起こし&感想

歌詞全文

聞き取って書き起こしているだけなので細かなミスor表記ずれはあるかと思いますが、正しい表現はCD発売後に歌詞カードを見て確かめてみて下さい。

 

 

憧れに似て身を焦がすようで

のばすこの手をすり抜けていく

濁った水のようなこの心

誰か掬って あふれる前に

もう少しほんの少しと求めても

虚しいほどに何一つと残らなくて

進んでく道示すのは自分だって

きっと君はもっと前に

気づいてるよ そうでしょう

 

 

誰も汚せないものひとつただ強く

黒さえ白く塗り替えて 何度でも

いつか全て消え去って移り変わろうとも

また始めようもう一度この場所で

人知れず咲いたこの花のように

 

 

立ち止まっても過ぎゆく季節

どこか冷たく他人のようで

人に傷つき 苦しんでもまた

傷癒すのも同じ人で

終わりあるからこそきっと愛しくて

でもねなぜか時にそれを 忘れてしまう

思い出はそっと寄り添いすぐそばで

眠るように祈るように

君のことを見つめて

 

 

想うほど遠ざかっていくこの瞬間

壊さぬようにそっと誰かへ繋げ歩こう

終わらないで もう少しだけ願うけど

遠い先でいつの日か知るだろう

永遠の中にある切なさを

 

 

色鮮やかな 花もそうきっと

今日もどこかで 生まれ変わって

 

 

誰も汚せないものひとつただ強く

黒さえ白く塗り替えて何度でも

いつか全て消え去って移り変わろうとも

また始めよう もう一度この場所で

人知れず咲いたこの花のように

 

 

 

 

感想

 視聴で一番サビまでは公開されていましたが、個人的には一番サビが最高に好きです。

 「蓮」の花をイメージして書いた逢田梨香子さん本人の作った歌詞なのですが、「誰も汚せないもものひとつただ強く」辺りの泥臭い感じが逢田梨香子さんらしくて凄くいいなぁと。

 

 あまりこういうところに科学を持ち込むのも無粋ではありますが、蓮の葉って表面構造が少し特殊で水を強くはじく性質があるんですね(ロータス効果)。

 水をはじくと何が良いかと言うと、泥水が葉っぱの上に付着しないので葉っぱが汚れない、つまり泥水が生きていく上で必要な光合成の邪魔にならない。この泥水を寄せ付けない特殊な葉っぱのおかげもあってハスは汚い泥水の中でも生きていけるし、綺麗な花を咲かせることが出来るのです。

 

 これを考えると、泥水の中で咲く蓮の花って強くて賢くて、これを最初の作詞の題材にしようと思った逢田さんの感性は素敵だなぁと思います。まあ逢田さんはきっとロータス効果なんて知らないのかもしれないけどね。

 

 

あと8曲も新曲があるなんて嬉しいな~!

(終わり)

 


逢田梨香子「Lotus」Music Video(Short Ver.)

 

配信サイト

「mora」

音楽ダウンロード・音楽配信サイト mora ~WALKMAN®公式ミュージックストア~

 

 「music.jp」

music-book.jp

 

 

全ての観客がmimokokoromo ~身も心も~ ピンク色になったライブ(三森すずこライブレポート)

新しいピンク色を届けるライブ

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 声優アーティストとして、時には舞台女優として、男性から若い女性まで幅広く人気を集める“みもりん”こと声優「三森すずこ」さんのライブ『Mimori Suzuko Live 2020 「mimokokoromo」』が2020年2月23日にLINE CUBE SHIBUYA(旧:渋谷公会堂)で開催されました。

 2018年夏に行われた「five tones」のライブから約一年半、僕を含めた多くのファンが待ち望んできたそのライブの様子や魅力を伝えていきたいと思います。

 

 

 三森すずこさんを表すカラーと言えば、可愛さの象徴でもあるピンク色。三森すずこさんの声優活動の原点でもある『ミルキィホームズ』のシャーロック・シェリンフォードのイメージカラーでもあるピンク色が多くの人にとって彼女のイメージカラーとして定着していることでしょう。

 しかし、最近の三森すずこさんは“かわいいピンク色”だけじゃありません。2018年に開催された「five tones」では「様々なカラーの三森すずこ」をテーマに“かっこいい”三森すずこなどの側面も強く押し出されてきました。また、ミュージカル『ウェスト・サイド・ストーリー』では大人なアメリカ人女性「アニータ」を見事に演じきったことも記憶に新しいです。『ラブライブ!』シリーズや『レヴュースタァライト』などのユニット活動においてもお姉さん的立ち位置で振る舞うことが多くなってきましたね。

 ところが、近年のこうした流れに抗うように三森すずこさんが作る今回のライブのテーマは「Back to Pink」そして「Brand New Pink」。あの頃の“かわいらしい”ピンク色の三森すずこを再演するだけでなく、今の三森すずこに見合った新しいピンク色を表現する、そのような意味を込めたライブとなりました。

 

 今回のライブ『mimokokoromo』はなんとTシャツからタオル、パンフレットに致るまで、全てのライブグッズがピンク色。極めつきは「みもりんブレード」こと本公演における公式ペンライトで、なんとホワイトと10パターンのピンク色しか出すことができない。異様なまでの徹底したピンクへのこだわりに、果たしてこのライブはどうなってしまうんだろうかと思わずにいられない波乱のライブ。だけど公演が終わって振り返ってみるとなんとも芸術的な、まさに「みもりんワールド」全開なライブであったと感じざるを得ません。その様子を体感できるように、最初の一曲目から振り返っていこうと思います。どうか最後までお付き合い下さい。

 

 

①楽しい休日の始まり

 「みもりんバンド」こと黒須克彦さんを始めとする豪華なバンド陣の演奏に合わせて会場一面がピンク色に染まる中、ステージのスクリーンには休みの日を思わせる映像が流れていく。映し出されたカレンダーがライブ当日の2月23日になったとき、『退屈リダクション』のイントロと共に待望の“みもりん”が姿を表します。

 最初の一曲『holiday mode』収録の『退屈リダクション』は、鬱憤を吹き飛ばして休日を全力で楽しみにいく、そんな曲。「じっとなんてしていたら時間になっちゃうわ」とポップなリズムに乗せて可愛らしく歌いあげる三森すずこさんは自身が誰よりもライブを楽しみにいってるようです。会場も負けじとボルテージが高まっていく、この感覚はまさに“三森すずこのライブが始まった”と実感させられます。

 

 最高のスタートを切った次の曲はなんと『Colorful Girl』。もともとは「みもりんブレード」を使って13色の色換えを行うのが定番な「カラフル」なこの曲が一変、完全にピンク色一色な曲となって再登場しました。

 しかも驚きはまだ止まらない、なんと三森すずこさんの過去の衣装が揃った衣装セットが登場します。『Tropical Paradise』で使われた人魚の衣装や『Grand Revue』で使われた騎士風の衣装、さらには『ミルキィホームズ』の探偵服を始めとした色とりどりの衣装を「みもりんダンサー」と呼ばれるダンサー陣が次々と取り出して着せようとするのですがみもりんはそれを着ようとしない。どうしたんだ?と思った次の瞬間にはピンク色の新衣装に身を包んで現れるのです。

 まさに「私はピンク色じゃないと嫌なの!」と言わんばかりの演出に思わず笑いをこぼしている間に、定番となっている色換えパート「カラフルタイム」に突入します。みもりんの指示通りに公式ペンライトをホワイトから順にボタンを押していくと、真っ白だった会場が少しずつピンク色に染まっていきます。こういう会場一体型の演出が三森すずこさんのライブではとにかく楽しいんです。

 

 

②身も心も‟みもりん色”

 みもりんも会場もピンク色となった後に披露されたのは『holiday mode』収録の『チュッタシュガリ』。休日のお菓子づくりを歌う内容ですが、「チュ チュ チュッタシュガリン」というとにかく可愛い歌詞に頭の中まであまあまふわふわにさせられます。この感覚は麻倉ももの『パンプキン・ミート・パイ』を彷彿とする、まさに可愛さ全開の曲。可愛い歌詞に、可愛いダンスに、僕を含めた多くのミモリアンが「身も心も」三森すずこ一色にされてしまったことでしょう。

 

 完全に会場の全てを支配してしまった後で満を持して披露したのは『ドキドキトキドキトキメキス♡』。フェスでも頻りに披露されるこの可愛さ全開のデジタルポップチェーンに会場のボルテージは最高潮。僕もテンションアガりすぎてこの時のことを全く覚えていません。とにかく可愛い、楽しい、そして可愛い。

 

 

ダイヤのAメドレー

 MCを挟んで披露されたのは『ダイヤのA』のオープニングにもなっている『グローリー!』。この曲は『ダイヤのA』の世界観に合わせ、野球の応援のようにメロディーにのせて「かっとばせー!す・ず・こ!!」と叫ぶのが恒例です。今年のアニサマでも披露されたこの曲ですが、三森すずこさんの現場ともなると「かっとばせー!」のコールにかける熱意が桁違いで、ミモリアンからの愛の深さを感じられる瞬間でした。

 

 『グローリー!』の曲中で不意に音楽が止まったかと思いきやまさかの最新曲『チャンス!』へのメドレーという展開に。これには会場のどよめきもさることながら、何よりも僕自身が「それだあああああああああ!!!」と心の中で叫んでおりました。

 この二曲はどちらも『ダイヤのA』のタイアップ曲で、『チャンス!』は『グローリー!』の世界観を引き継ぎながらも少し大人目線で語り直した曲。昔の三森すずこから今の三森すずこへと、そんな歴史の一編を感じられるメドレーです。

 

 グローリー!→チャンス!というコールの大変なメドレーから続く曲は1stアルバム『好きっ』に収録されている『恋のキモチは5%』。どこか悲しさと共に小さな恋心を歌うこの曲が楽しいメドレーの後の会場に響いてきます。

 

 

④ゆうがた、そして夜に

 ライブも中盤にさしかかり、ここで新曲の『ゆうがた』を披露。ゆうがたの愁いを見事に表現したこの曲でライブの雰囲気がガラッと変化します。

 『ゆうがた』でしんみりムードになった会場に続いて響いた曲は『ちいさな手と観覧車』。楽しさ、切なさ、悲しさ、そこに混ざる恋心が織り成すこの曲は盛り上がりが良くてライブのクライマックスを飾る事が多いのに、今回はライブ中盤で使われることにビックリ。なるほど、今回は「新しい三森すずこ」を探すライブ、そういう使い方をしても良いのか。

 

 『ゆうがた』と『ちいさな手と観覧車』で日暮れ前の何とも言えない感情を表現しきった三森すずこさんは一旦ステージから掃けて、その間をバンド演奏が繋ぎます。

 バンド演奏が終わると三森すずこさんは『ウエストサイドストーリー』のアニータを彷彿とするような大人な衣装を身にまとって再登場、『holiday mode』収録の『Swing of Love』を披露しました。「大人にも色々あるんです」という出だしで始まるこの曲はトキメキス♡と同じPandaBoYさんの作曲したジャズ調の曲であり、ゆうがたムードだった会場は一気に夜のパーティー会場へと大変化。間奏ではサプライズで始まったテーブルクロス引きを見事に成功させて会場を大きく湧かせました。テーブルクロス引きに成功した直後の安心と満足が入り混じったみもりんの表情が最高でした。

 みもりんの「ワン、ツー、スリー、フォー!」の掛け声と共に『純情Da DanDan』が流れる。この曲は三森すずこさんの歌とダンスも勿論のことだが、とにかくバンド演奏が素晴らしい。

 まだまだパーティーは終わらない、続く曲は『tone.』収録の『恋はイリュージョン』。三森すずこさん本人が作詞したこの曲はちょっぴり大人な女性の気持ちを綴ったロマンティックな歌。間奏のタップダンスのキレも一年半前のライブから衰えておらず、寧ろさらに磨きがかかっているようです。

 

 

⑤まるでパジャマパーティの様なライブパート

 『恋はイリュージョン』を披露しきった三森すずこさんは一旦退場、その間を「みもりんダンサー」のダンス披露でつなぎます。彼女たちの踊りはダンスに明るくない僕にも楽しめるもので、そのレベルの高さに毎度毎度驚かされます。

 

 当の三森すずこさんは馴染み深い全身ピンクのドレスに身を包んで登場。その着こなし抜群の姿を見て「やっぱりみもりんはピンクじゃないとなぁ!」とテンションアゲアゲ、ここからはミモリアンが思わず「懐かしい!」と感じる曲たちが立て続けに披露されました。

 まずは『Toyful Basket』収録の『FUTURE IS MINE』。ヒャダインこと前山田健一さんが作詞・作曲を務めた遊び心満載の曲で、2016年の『Grand Revue』以来の披露。その『Grand Revue』でも登場したうさぎの着ぐるみの動物たちと一緒に踊る様子は今も昔も可愛らしさ抜群です。

 続く『Wonderland Love』は『不思議の国のアリス』をモチーフにしたファンタジー溢れる曲。久々の披露もさることながら、「みもりんダンサー」に子供が加わって一緒に踊り始めたことに度肝を抜かれました。まるで本当に不思議の国に迷い込んだよう、そこは完全にみもりんの作る「みもりんワールド」の世界が広がっていました。

 そして次は(個人的に)待望の『Fantasic Funfair』。とにかく“楽しい”を詰め込んだこの曲はいつも三森すずこさんのライブを彩るのに相応しい。とにかくハイテンポなコールの応酬に会場のボルテージは再び最高潮。「私たちはどんな物語の中へ飛び立つのかな」と言う歌詞がまさに今も昔も三森すずこさんの在り方に相応しいなと思わされました。

 

 『Fantasic Funfair』で最高の盛り上がりを見せた後は、『星屑のカーテン』で一気におやすみモードに。三曲続けざまに可愛らしい曲を披露しただけに、大人な憂鬱を歌い上げるこの曲がいっそう深く響き渡る。

心の奥の方で忘れかけていた

輝いた物なんでも集めてたっけな

「Back to Pink」を掲げたライブでこの歌詞を歌い上げるのがなんとも切なくて思わず涙を流さずにはいられない。

 

 

 『退屈リダクション』で元気に登場した三森すずこさんは昼、夕方、夜へと表情を変えながら色んな世界を演じて見せ『星屑のカーテン』で眠りにつくようにそのステージ上から消えていき、その幕を閉じるのでした。

 

 

⑥Encore  「『一生ミモリアンです』と言ってくれることが嬉しい」

 もう十分なほどに三森すずこワールドを見せつけられましたが、ライブはまだまだ終わらない。観客のアンコールに答えて再登場した三森すずこさんが披露した曲はなんと『ヒカリノメロディ』でした。

 いつもアップテンポな曲で華々しく登場する彼女が、『ヒカリノメロディ』をアンコールに持ってきたことには驚きました。しかし、「夢をもっと見せてずっと」という歌い出しに『星屑のカーテン』からの繋がりを感じられたり、彼女がいかに盛り上がりだけでなくライブの構成までも重視しているかを実感します。

 

 続けざまに披露されたのは8thシングルの『エガオノキミヘ』。「君を連れて駆け出すよ 誰も追いつけない場所へ」という歌詞から始まるこの曲は、「ゆゆゆ」の世界観を歌うだけじゃなく全てのミモリアンに贈る歌といっても過言ではないでしょう。個人的な話ですが、この曲は僕も一番好きな三森すずこさんの曲なので歌い出しからもう涙がポロポロ止まりませんでした。「Bland New Pink」を謳うライブでも変わらずこの曲を歌い上げるのがアーティスト三森すずこの在り方なんだとしみじみ思わされます。

 

 二曲を披露した後はMCに突入。今回のライブテーマを決めた経緯などを話しましたが、中でも印象的だったのは前回のライブからの一年半の想いを語っていた箇所。「色んな環境の変化があったけれども、みんなが今でもこうして変わらず応援してくれる事が嬉しい」といった言葉に色んな想いが溢れてきた人はきっと僕だけじゃないでしょう。

 中でも「手紙で『一生ミモリアンです』といって言ってくれる人が多くていつもびっくりする、そんな必要なんて無いのに」などと語って会場の笑いを引き出しながらも、「そんなことを言う人がいてくれることが本当に嬉しい」と語ったのは、いつの日か「皆がいるから『三森すずこ』でいられる、だからみんなが『三森すずこ』なんだ」「1人でも『三森すずこ』のステージが見たいと言う人がいる限り歌い続ける」と語った彼女を思い出します。

 

 会場がMCで感傷的な雰囲気になっている中、最後の曲のタイトルコールに。みもりんの「会いたいよ…」という掛け声に「会いたいよ!」と観客が返して完成するその曲は声優アーティスト三森すずこのデビュー曲『会いたいよ…会いたいよ!』。どこまで行っても「三森すずこ」と「ミモリアン」のつながりを忘れない彼女の姿勢に改めて感動しながらも、フィナーレにふさわしい会場の盛り上がりに。本当にこの曲は王道のアイドルソング調でありながら歌詞もよくてダンスもよくて、それでいてライブで楽しい曲。落ちサビではマイクを客席に向けて一緒に歌わせてくれるのがファンにとっては最高に嬉しかったりする。

 かくしてライブは閉幕、三森すずこのライブは大団円を飾ったのです。

 

⑦W-Encore  ミルキィのメンバーに贈る曲

 …というのはまだ早くて、ステージを下りた三森すずこさんへの二度目のアンコールを受けて最後の再登場。「声優:三森すずこ」として足を踏み出したきっかけでもある、2019年1月にファイナルを飾った『ミルキィホームズ』についての想い出を語りながら最後の一曲『Precious days』を歌います。この曲は『ミルキィホームズ』のメンバーに贈る曲として三森すずこ本人が作詞した曲で、あの頃の日々を振り返りながらも前を向き続ける、そんな曲になってます。

 恥ずかしながら僕はミルキィのライブに行ったことが無くて、ミルキィのことは全然わからないのですが、それでも「そんな人にも別れの時や昔の仲間を思い出して聴いて欲しい」という三森すずこさんの思いが込められていたり、何より彼女のことを見ているだけで三森すずこにとって『ミルキィホームズ』がいかに大きな存在だったかがミルキィを知らない人間にも伝わってきます。

 すべてのミルキアンにとって、そしてミルキィを知らない人にとっても最高の一曲を披露し終え、全20曲のライブ『mimokokoromo』の幕が完全に下りていきました。

 

 

 

‟Bland New Pink”な三森すずこ

 原点回帰の意を込めた「Back to Pink」というテーマを掲げた今回のライブは、『グローリー!』『FUTURE IS MINE』『Fantasic Funfair』をはじめとした多くの曲で昔ながらの「ピンク色」な三森すずこを垣間見ることができ、昔からのファンにとって懐かしさを覚えるライブだったかもしれません。

 ですがそれと同時に、新たな形の『Colorful Girl』や『holiday mode』の収録曲、それになんと言っても最新Singleの『チャンス!』『ゆうがた』のように“オトナかわいい三森すずこ”の曲たちがライブにおいて確かな存在感を放っていたライブでもありました。

 今でも色んな場で活躍している三森すずこさんですが、かようなまでに「みもりんワールド」全開な姿はソロのライブでしか見られません。そして「Bland New Pink」を掲げた今回のライブでは、年を重ねても全く色あせない「みもりんワールド」に気づけばすっかり~身も心も~虜になっていました。どこまでいっても他のアーティストのライブとはひと味違うその感覚に、やっぱり三森すずこさんのライブが大好きだと思わずに居られないのです。